最悪の事故が起こるまで人はなにをしていたのか (読了日 : 2016/9/6)
お勧め度:★★★★★ (5/5)
- 作者: ジェームズ R・チャイルズ,高橋健次
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2006/10/19
- メディア: 単行本
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ながらく積読になっていた本を読んだ。
この本を勧めてくれたのは以前の研究者時代の先生だった気がする。
遠い昔の話だ。
それはさておき、文明と技術の発展によって高度に複雑化した「マシン」
(原子力発電所, 石油掘削リグ, 航空機, etc.)の事故がどうやって起きたのか、
数多くの事例を紹介する本。
この手の文章では技術そのものに批判的な物が多く見られる気がするが、
この本では、「マシン」の事故は人間の知恵と工夫によって乗り越えられるはずだ、
という観点に立っているのがよい。
「マシン」との共存はもはや避けられない。ならば、どうやって我々は制御すれば
よいのか。ベストプラクティスは何なのか。どこに罠がひそみがちなのか。
- 一つの籠に全ての卵を入れてはいけない。(冗長性はきちんと分離する)
- 熟練者でなくとも分かりやすい仕組みを作る。
- 現場の熟練者が持つ危機感を真摯にとらえる。
- 社会的なプレッシャーを現場の危機感に優先させてはいけない。
等々。
それぞれ当たり前の事をいってはいるのだが、多数の人が関わる大きなプロジェクトで
その当たり前を実行する難しさを実感させてくれる。
かなり分量のある本だが、一気に読み切ってしまった。
各エピソードでの、危機が迫ってくる展開が手に汗に握る気分だ。
古い本だけれどお勧め。