父親たちの星条旗

シネプレックスつくばで映画 "父親たちの星条旗" を観た。
硫黄島 手前の山が擂鉢山

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舞台は第二次大戦末期、太平洋戦線の硫黄島
マリアナ諸島(サイパン、グアム)を落とした米軍は、
日本本土を本格的に攻撃する足がかりとして小笠原諸島南部の硫黄島の攻略を企図する。


それまでの日本軍の防衛戦術は、島に砲撃する艦船に応戦し、
敵兵の上陸を許さないよう水際で阻止する、というものだった。
そのため、艦船に砲撃を加えた時点で隠しておいた大砲の位置が米軍に知られ、
艦砲射撃や爆撃で沈黙させられていた。


しかし、硫黄島の戦いでは戦術を変更した。
艦船に攻撃は行わず、上陸してもすぐには攻撃しない。
ある程度奥まで上陸した時点で塹壕などに隠しておいた火気で反撃する…


映画での上陸シーン。上陸後しばらくの静寂になんとも言えない凄みがある。
ひょっとして日本軍は先立っての爆撃で沈黙したのではないか?
そういった雰囲気になりかけた瞬間、要塞化した擂鉢山から猛烈な攻撃が行われる。
四方から攻撃され、どこから撃ってくるのかも分からない恐怖。


泥沼の30日の戦いの中、硫黄島の擂鉢山の頂上に星条旗を立てた写真が
アメリカで報道されて話題になる。
だが、その写真は最初に星条旗を立てた時ではなく、
別の旗に変えようとして2回目に立てたときの物だった。


写真に写っていた兵士たちは海兵隊のヒーローとされ、本国に呼び戻される。
本国での仕事は、戦時国債のPR。
普通の兵士だったのが国によって"ヒーロー"に祭り上げられていく。
"ヒーロー"とされた兵士達は戦場での自身の姿と英雄としての姿のギャップに苦しむ。
"ヒーロー"を演じる事が責務とする者、"ヒーロー"でいる事に耐えられなくなる者……


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艦砲射撃や航空機からの銃撃などのシーンは大迫力。
どこから撃たれるか分からない恐怖。凄惨な戦場が説得力を持って表現される。
国の"英雄"が生まれる過程と、当人の葛藤の描写。
どれもなかなかのもの。久々の映画を堪能した。


# 戦争物なのでグロいのがダメな人にはおすすめできないけど。
# (カップルで観に来ていた人がいたけど、大丈夫だったんだろうか?)
## 映画に登場する艦船の艦種をチェックしていたのはマニアックの性…
## (サウスダコタ級とアイオワ級が映っていた。調べてみると確かに参加してる)
### あと、艦砲射撃する艦船が島に近づきすぎていたように感じたんだけど、どうなんだろう?