小野の里

この週末は冷え込んだ。この日も昼前まで雪が舞っていた。
昼過ぎに雪が止んで陽が差し始めたので自転車でふらっと出かけてみる。
走り始めるまでどこに行くかは決めていなかったが、
ふと雪をかぶった比良山が見たくなって琵琶湖西岸方面に向かった。

いつもの道で立ち止まって : 京都→山科→大津

琵琶湖方面へはいつものように蹴上から山科に入って、逢坂越えで大津へ向かう。
山科の辺りでは旧東海道に当たるやや細い道を走る。
なかなか風情があるのだが、いつもは遠くへ向かうためにここで自転車を止める事はない。
だが、今日は近場で先を急がない旅。折角なのでゆっくりめに走って街並みを楽しんだ。




旧街道に佇む [絞り優先AE(-1.0) F2 1/1000sec ISO-100 / D200 + Ai Nikkor 50mm F1.4]
旧東海道が大津に向けて登り坂に差し掛かる辺りにある丸ポスト。
ここを通りかかるたびに気になってはいたのだが、
いつも遠くまで走ろうと先を急いでいるせいで立ち止まって見たことは無かった。
ノスタルジーな丸ポストが旧街道の雰囲気によく似合っている。
たまにはこうやってのんびり見ながら走るのもいいものだ。

小野の里へ

大津から国道161号で北に向かう。
何となく前から小野神社というのが気になっていたのでそこを目的地にした。
道中は概ね順風、ハイペースで走って小野に到着した。
小野は小野妹子小野篁(おののたかむら)、小野道風などを輩出した小野氏の土地で、
小野氏に関わりの深い神社などがいくつかある。
せっかくなのでいろいろ見て周る事にした。




唐臼山古墳(からうすやま)
まずは唐臼山古墳。ここは小野妹子の墓、との伝承があるらしい。
(大阪府にも小野妹子の墓がある/
唐臼山古墳の方の伝承は江戸時代に初見らしいので信憑性はいまいちかも。)
土盛が一部失われていて、古墳の石室があらわになっている。
平たい石を組み合わせて石室を作っているのがよく分かる。




夕日差すブランコ [絞り優先AE(-0.5) F2 1/4000sec ISO-100 / D200 + Ai Nikkor 50mm F1.4]
唐臼山古墳は公園として整備されていてブランコが置かれていた。
誰もいない公園のブランコ。陽が傾き始め、徐々に気温が下がって寒風が吹き抜ける。
遠くには雪をかぶった比良山系。何とはなく物悲しい感じだった。


続いて小野氏ゆかりの神社二ヶ所、小野道風神社と小野神社(境内社小野篁神社)をめぐる。




小野道風神社 本殿 (国重文)
南北朝時代の建築で国重文。三間社切妻屋根の平入りで向拝付き。
この後行く小野篁神社本殿(これも国重文)も同様の形式。
神社建築では流造(ながれづくり)という正面の屋根が手前側に伸びた形式が
一般的なものの一つで、この建築も普通なら三間社流造にする所だろう。
そこをあえて切妻屋根に向拝付きにした辺りに特徴がある。
ボリューム感のある屋根が描くなだらかな曲線が美しい建築だ。


続いて小野神社へ。小野神社の境内にある小野篁神社の本殿も国重文なのだが、
小野道風神社と似た形式なので写真は省略。




雪ニモ負ケズ [絞り優先AE F2.8 1/30sec ISO-200 / D200 + Ai Nikkor 50mm F1.4]
小野神社の狛犬。雪をかぶっていかにも寒そうな感じ。
それでも口を開けてしっかり番をしている。なかなか健気だ。

帰還 : 小野→大津→京都

小野神社を見ているうちに日が暮れてしまった。
国道161号を走って帰り始める。しばらくすると残照も無くなって完全な夜になった。
夜の道は走りづらいのだが、少し前に明るい自転車用ライトを取り付けたばかりだったので
今までよりは大分走りやすかった。
坂本からは国道161号の交通量を嫌って裏道へ。この辺は割と近場なので勝手知ったる所だ。
大津からは行きと同じルートで京都へ帰還。


昼スタートで遠くへは行けなかったが、近場でもいくらでも見る所があるものだ。
たまにはこういうのも悪くない。



走行距離 : 74.2km
走行時間 : 3h38m
平均走行速度 : 20.3km/h