40年の時を経て

少し前の話になるが、年末年始に帰省していた時、
父親が古そうなカメラをどこからか見つけ出してきた。
カメラには"OLYMPUS 35LC"と刻まれている。
レンズ固定式のレンジファインダー機だ。


(注)レンジファインダー
レンジファインダーとはピント合わせの際に被写体までの距離を
三角測量の原理(要するに人間が両目で距離をつかむのと同じ原理)で測るカメラ。
(という説明でいいのか?)
といっても使い方が難しい訳では無く、
ファインダーに投影されている像を重ね合わせて合致させればOKとむしろシンプルだ。


試しに空シャッターを切ってみた所、低速から高速まで動作している雰囲気。
レンズとファインダーにはいくらかカビがあったが、とりあえず写真は撮れそうだ。
父親が譲ってくれると言うので喜んでもらってきた。
残念ながら露出計は動かないようだが、ネガフィルムなら直感で何とかなるので
テスト撮影してみた。




OLYMPUS 35LC
カメラの後ろに少し写っているのはこのカメラで撮った写真。
レンズはG.ZUIKO 42mm F1.7とスナップにはいい感じのものが付いている。
ちょっとレトロな見た目が気に入ったので、研究室のデスクに飾ってみた。
[ D200 + Tokina AT-X PRO 28-70mm F2.8 / 絞り優先AE(0.0) F2.8 1/60sec ISO-400 ]


開放で逆光気味に撮るとふわっとした印象に仕上がった。
レンズの性質なのかレンズについたカビの影響かは分からないが
ふんわりした描写はなかなか味があっていい。
絞ればくっきりとコントラストのある描写をしてくれる。
絞りや光線状態によって色々な味を見せる、なかなか楽しいレンズのようだ。


このカメラの発売は1967年。40年も昔のカメラがちゃんと動作することに感動した。
40年経ってもカメラとしての価値を持ち続けている訳だ。
デジタルカメラ全盛のこのご時勢、40年後に価値を持ち続ける製品はどれだけあるのだろう。
(案外、"この300万画素の荒っぽい味がいい"とか言ってるのかもしれないが。)