北近江戦国拾遺 : 鉄砲の里国友・姉川古戦場へ
ようやく復活気味のサイクリング。
先週は西へ向かったので今週は東へ。
行き先は滋賀県の浅井(あざい)付近にした。
さざなみ街道 : 京都→大津→近江八幡→彦根
京都から大津へは山科から国道1号逢坂越えのいつものルート。
大津から北へは、いつもなら最短ルートの県道2号(彦根道/朝鮮人街道)を使うのだが、
毎回同じだと面白くないので遠回りにはなるが湖岸沿いのさざなみ街道(r25)を選んだ。
この日は風が強く、風向きと進行方向によってスピードが大きく左右された。
さざなみ街道は湖岸沿いを走るので信号が極端に少ない。
いつものペースで走っていると結構疲れがたまる。
普段の信号停止は意外と休憩になっているようだ。
道の駅草津と長命寺近くのコンビニで小休止を取った以外は
ほとんど停車せずに彦根まで走りきった。
彦根芹橋の足軽町
彦根では彦根城を見ずにマニアックな観光をしてみた。
彦根の城下町の外周には足軽町が置かれていたらしい。
この芹橋は善利(せり)組の足軽町。
防衛のため細く入り組んだ路地に当時の雰囲気を感じ取る事ができる。
鉄砲の里、国友
彦根で小観光＆休憩後、さらに北上する。
再び湖岸沿いの道に戻って長浜へ。
長浜から内陸へ向かって走り、鉄砲の生産で有名な国友へ。
国友には"国友鉄砲の里資料館"という歴史資料館があるのだが、
あいにく国友に到着した時には夕方の５時を少し過ぎていた。
入れないのは承知で場所だけ確認しておこうと資料館まで行ってみると、
資料館の方が入れてくれるという。恐縮しながらも見せていただいた。
この資料館、規模は小さいながらも興味深い展示で収穫が多かった。
一つは鉄砲(銃身)の作り方。
心棒に板状の鉄を巻きつける→熱して叩いて継ぎ目を消す
→さらに細い鉄をらせんを描くように巻きつける→熱して叩いて継ぎ目を消す
→筒の内側に尾栓用のネジを切る→尾栓をネジで閉めて完成
二つ目は国友一貫斎という人物。
この人は鉄砲鍛冶なのだが、好奇心旺盛な人物でもあったようで
江戸で反射望遠鏡を見たのに刺激されて反射望遠鏡を自作。
月表面の模様や太陽黒点などを観測し、記録(スケッチ)を残した。
他にも空気銃や万年筆など色々な物を製作したらしい。
営業時間が終わっているにも関わらず入れてくれた資料館の方に感謝。
鉄砲、売ります
国友の集落についてまず目に付いたのがこの看板。
銃刀法のある日本で鉄砲を売っているというのは
(よく考えたら猟銃とか射撃競技とか需要があるのは分かるのだが)
なかなか新鮮だった。
戦国時代からの伝統が今でもこの土地に残っている事に歴史を感じる。
姉川の戦い
続いて姉川古戦場へ向かう。
国友からはすぐに着いたが、色々な所に姉川古戦場と書かれている。
まあ、姉川を挟んだこの付近一帯が戦場だったのだろう。
古戦場の場所は何という事のない平地なのだが、戦いがここで起こったのは必然だ。
付近を国道365号(北国脇往還)が走っている。
この道は関ヶ原から北陸へ抜けるショートカットで、姉川を越えてしばらく北へ行くと
浅井氏の本拠、小谷城が控えている。
美濃から関ヶ原を越えてやって来る織田軍とは自然とここでぶつかる事になる。
付近を走りながら "自分が本陣を置くとしたらあの小高い丘かな" と思っていたら
実際に信長が合戦直前に本陣を置いた記述があったりして面白かった。
こうやって自転車で走り回るのは、戦国時代の馬で走り回る武将と
物の見え方が近いのではないか、などと思いながら古戦場を走り回った。
姉川古戦場から北を望む
姉川古戦場付近から北を見た写真。
右に写っている山が小谷城のある小谷山、でいいのだろうか。
小谷山にも一度登ってみたいものだ。
最後の賭け
姉川の南岸(織田・徳川連合軍の陣地)に遠藤直経(なおつね)の墓があった。
浅井氏の武将、遠藤直経は姉川の合戦で敗色濃厚になった際、
自軍の武将の首を携えて織田側の武将になりすまし、信長の暗殺を狙ったらしい。
惜しくも信長本陣の直前で竹中重矩(半兵衛の弟)に見破られて斬首された。
遠藤直経は合戦前は朝倉家を見限って織田側につくべき、と進言していた。
時代を見る目がありながら大きな流れを変える事ができず、
それでも可能な限りの手をつくす。優れた人物の、優れているがゆえの悲しさだろう。
高月→帰還
姉川の古戦場から国道365号を北上する。
日が暮れ始めていたので行ける所まで走る事にした。
途中、小谷城の麓を通る。小谷城がこの街道を押さえる要害の地だと実感した。
さらに走って行ったが高月で時間切れ。
高月駅で自転車を畳んで輪行で帰ってきた。
まとめ
走行距離 : 121.8 km
走行時間 : 5時間31分
平均速度 : 22.1 km/h
最高速度 : 43.0 km/h
