広き関東平野 : つくばから両毛地域へ (つくばシリーズ vol.1)

ここに書くべき事が無かった訳では無いのだが、
(研究室の合宿とか、研究会のexcursionで神戸で船に乗ったとか、鵜飼を見に行ったとか)
ここの所忙しくて文章をまとめる余裕が無かった。


で、久々の更新は茨城県のつくばから。
9月の半ばから10月末にかけてつくばへ長期出張に出る事になった。
滞在が長期で、つくばで足が無いのは不安(つくばはクルマ社会)なので、
輪行が楽になった愛車を持っていく事にした。
愛車があって、週末が晴れならば、やる事はいつもと同じ。という訳でサイクリング。
行き先は栃木、群馬にまたがる両毛地域を選んだ。

うどん抜き : つくば→古河→館林

つくばからまずは県道56号で西に向かう。
古河までの道のりはゆったりとした農村風景で心地よい。
緩やかなアップダウンと小貝川、鬼怒川の二つの川がアクセントになって飽きさせない。
久々のサイクリングという事もあって気分良く走る。




モザイク
県道56号沿いで撮影。
この辺りはレタス栽培が盛んらしく、ゆるやかな傾斜に畑が広がっていた。
その植え方がまちまちで、ちょっとしたモザイク模様みたいになっていた。
[ Nikon D200 + Ai Nikkor 135mm F2.8S ]


2時間ほど走って疲れてきた頃、古河の市街地に到着。
サティで軽い昼食と休憩をとって、古河の歴史博物館へ。
古河には城があったのだが、城跡は明治から大正にかけての渡良瀬川の改修と
渡良瀬遊水池の造成でほぼ完全に破壊されてしまったらしい。
こういった破壊は残念なのだが、それもまた明治から大正という時代を物語る"歴史"だろう。


古河からはうどんで有名な館林を目指して西へ向かう。
古河の西には利根川の洪水対策に作られた渡良瀬遊水池がある。
群馬、栃木、茨城、埼玉の4県が錯綜する場所に広大な面積の湿地帯が広がっている。
洪水のときには利根川の水を一旦この湿地帯にためておいて、後で放流するのだろう。
元々は足尾銅山鉱毒への対処として作られたらしく、村一つが破壊されたらしい。
今はそういった歴史を感じさせる物はあまり無く、
釣りやセーリング等のレジャースポットになっているようだ。




遠く日光男体山(?)を望む
渡良瀬遊水池の谷中湖ではセーリングを楽しんでいる人がいた。
写真の右奥、遠くに見える円錐形の山は日光男体山だろうか?
[ Nikon D200 + Ai Nikkor 135mm F2.8S ]


渡良瀬遊水池から館林へは延々と広がる水田の中を走る。
県道365号を走る予定だったのだが、間違えて一本北の県道373号へ入ってしまった。
あまりに単調な景色のせいで館林に入る直前まで間違いに気づけなかった。


館林に入ってうどん屋を探す。
上州三大うどん(他は桐生と水沢)の一つとあってはやはり食べておきたい所
だったのだが、探し方が悪かったのか見つかったのは
"讃岐の釜揚げうどん" と "佐野ラーメン"。 どっちも何かが違う…
結局うどんはあきらめてコンビニおにぎりで済ませてしまった。
(佐野ラーメンは館林の北隣にある佐野市の名物。)

納得したら卒業です : 館林→足利→伊勢崎

気を取り直して足利学校を見に足利市へ。
県道8号は小さな変化(連続カーブ→国道50号交差→渡良瀬川沿い→橋で渡る→市街地)
があって、足利まで飽きずに走る事ができた。
足利では足利学校鑁阿寺(ばんなじ)を見物。




納得したら卒業です
足利学校は中世の高等教育の場。言ってみれば大学だろう。
儒教メインに、易学や軍学なども教えられていたようだ。
ここのルールは"自分が納得したら卒業"で、自学自習して納得したら去るらしい。
僕もそろそろ納得して"卒業"したいものだ。
入場券が入学証となっていたのが面白かった。




橋の向こうの日常
鑁阿寺は足利氏の居館跡で、足利氏の氏寺。
四角形の敷地の周囲を堀と土塁に囲っていて、いかにも中世の館といった感じだ。
残念ながら本堂は工事中だったが、堂宇も見るべき物が多かった。
写真は山門前に掛かっている屋根付き太鼓橋を境内の中から外を向いて撮影。
山門と橋というのは異世界としての境内と現実社会を隔てる象徴。
サイクリングを楽しんでいる非日常の自分と地元の人の日常を太鼓橋が隔てている。
小さな橋の向こうにはごく普通の日常が広がっているのだ。
[ Nikon D200 + Ai Nikkor 28mm F2.8S ]


足利で時間を使いすぎてしまって夕暮れが迫ってきた。
だが、走行距離は86kmでちょっと物足りない。
残照が無くなるまでにはギリギリ走りきれるだろうと思って、伊勢崎を目指して走る事にした。
足利から伊勢崎への間はずっと追い風。
太陽の沈むペースに負けないようにハイペースで飛ばす。
秋分の日の近くなので日没は6時頃だろうと思っていたら、5:40頃に日が沈んでしまった。
関西と関東の違いをすっかり忘れていた。
残照が消えて完全な夜になった頃、なんとか伊勢崎に辿り着く事ができた。


伊勢崎からは輪行で帰る。
JR両毛線で小山へ。小山からは水戸線で下館。
下館からは関東鉄道常総線で下妻の一つ南の宗道で下車。
常総線は単行の気動車というローカルムード満点の路線だった。
宗道駅からはつくばまで30分ほど走って帰還。

まとめ

関東で初めての長距離サイクリング。
(むかしつくばに住んでいた頃に土浦までは往復した事がある)
走るにつれて土地勘が身に付いていくのが面白い。
関東平野の広さの一端を身をもって体験する事ができた。
やはり知らない土地を走るのは楽しい。



走行距離 : 116.3km (帰りの宗道-つくばを足すと129.9km)
走行時間 : 5時間10分
平均速度 : 22.5km/h
最高速度 : 41.0km/h