中国地方縦断 : 岡山→津山→智頭→鳥取

この日も前の週と同様に天気予報は不安定。
前もどうにかなったので今週もどうにかなるだろうという事で、とりあえずサイクリング。
行き先は四国方面が続いていたので逆に北の津山方面へ向かった。

川に沿って : 岡山→津山

岡山から旭川に沿って北上する。旭川沿いには国道53号とJR津山線が津山方面へ伸びているが
二桁国道沿いは走りたくないので、国道と並行する県道をメインに走る。
この川は水運で栄えたそうで、途中の福渡はその拠点だったらしいのだが
僕の目ではその痕跡を見つけることはできなかった。


このまま旭川沿いに津山までいければいいのだが、あいにく津山は旭川ではなく
吉井川水系に属するので峠を越える必要がある。
誕生寺付近が最高所になっているのだが、それほど大した登りではなかった。
この日は追い風に背中を押されていた事もあって楽に越えることができた。




誕生寺本堂 (国重文)
峠を越える辺りに誕生寺という寺院があったので立ち寄ってみた。
浄土宗を開いた法然の誕生した場所に建てられた寺院だ。
本堂は江戸時代の再建で国の重文。重層の屋根に長く突き出した唐破風の向拝がちょっとくどい印象。
この本堂の奥には法然の産湯の井戸というのがあったが、白く濁ってしまっていた。

津山 : 津山城と町並み

津山に到着。津山城跡と城下町の町並みを見物する。




津山城の石垣
津山城は思っていたよりはるかに大きな規模の石垣を持った城だった。
石垣の高さも高く、郭の構成も複雑で完成された近世城郭といった印象だ。




備中櫓の内側
津山城の建築物は明治時代の廃城令によって壊されて残っていない。
本丸南側の備中櫓が平成になって再建されているのが今ある唯一の櫓だ。
備中櫓は外から見ると矢挟間や鉄砲挟間を備えた普通の櫓なのだが、
内側は茶室などもある本丸御殿の一部になっている。
普通の和室に挟間が並んでいるのが面白い。
城郭にこのような建築が造られた事は江戸時代の安定の証なのだろう。




城下町の商家
津山の城下町で見かけた商家建築。
煙出しの他に立派な櫓みたいなのが乗っているのが面白い。
どういう用途で使ったのだろうか?

津山→智頭→鳥取

津山からさらに北上して智頭を目指す。国道53号は交通量がありそうだったので、
旧道とおぼしき県道6号で峠越え。JRの因美線もこちらのルートを通っている。
本格的な峠道に差し掛かる手前の物見の集落で一休みしていると、
地元の老人に声を掛けられた。しばらく話をしていたら、その老人の昔の話になった。
その方は戦時中には海軍にいたらしい。
択捉型海防艦「満珠」に乗り組んでいたとの事で、満珠が爆撃を受けて大破着底した際には
連絡のため将校と一緒に上陸をしたので助かったのだとか。
その方は通信兵だったのだが、「通信が兵ならば、女子供も武士のうち」
と言われて肩身が狭かったそうだ。…とか色々面白い話を聞く事ができた。


物見集落から標高620mの物見峠へ本格的に登り始める。
登り坂自体は問題なかったのだが、峠付近で周囲が霧に包まれ、小雨も降り始めた。
峠を過ぎても雨は止まず、滑りやすい路面に気をつけながら慎重に下った。




霧の峠道
峠付近は写真のように霧が出ていて、かつ路面も濡れていてなかなか緊張する状態だった。
写真で見ると幻想的ないい景色なのだが、走っている方は大変だ。
[ Nikon D200 + Ai Nikkor 35mm F2S (@F2.8) ]




雨の似合う花
峠を過ぎたあたりで、道端に紫陽花がさいていた。
紫陽花の花と葉には、やはり雨露がよく似合う。
[ Nikon D200 + Ai Nikkor 35mm F2S (@F2) ]


智頭に着いた頃には雨もあがっていた。
智頭も古くからの町並みが残る事で有名な町だ。
その町並み界隈を散策したが、時刻は既に夕方で中に入れなかったのが残念。
まだ体力には余裕があったので、鳥取を目指してラストスパート。国道53号をダッシュで北上。
追い風もあって高速運転。残照が尽きて暗くなった頃に鳥取の市街地に到着した。
鳥取駅で自転車を畳んで、特急「スーパーいなば」で岡山に帰還した。

まとめ


走行距離 : 148.7km
走行時間 : 6時間34分
平均速度 : 22.6km/h
最高速度 : 41.0km/h